禁煙しようと思って失敗したことはありますか?
喫煙家の方にしかわからないかもしれませんが、自分の意思だけで禁煙するのはとても難しいですよね。そんな難しい禁煙が、薬のサポートで、しかも1人でするより高確率にできるとしたら、禁煙できそうではありませんか?
今回は、そんな喫煙家待望の「禁煙薬」について、詳しく解説していきます。
禁煙薬って何?
禁煙薬とは、正しくは禁煙補助薬と言われます。服用もしくは貼付することにより禁煙の成功率が格段に上昇するというお薬です。
その説明の前に、まずなぜ禁煙を自分の意思だけで行うのが難しいのかについて説明します。それは、タバコのせいでニコチン依存症という病気になってしまっているからです。
例えば、うつ病の患者さんに気合で治せ、がんばれ、と言っても治らないですし、むしろ病気が悪化してしまうのと似ているかもしれません。
同じように、喫煙家の方はニコチンによる快楽と、ニコチンが切れた時の離脱症状を繰り返し経験し、違法薬物であるヘロインやコカインと同程度と言われているその依存性により、もはや自分の意思でタバコを断つことは極めて難しいものとなってしまっているのです。
もちろん、中には薬に頼らずとも禁煙できる方もいますが、そのような方は余程環境に恵まれていたとか、ニコチンに対する耐性が他の人に比べて強かったりだとか、そう言った意思の強さ以外の要因によるところが大きいと思われます。
そのため、もし自分が禁煙薬を使おうか迷っている方がいれば、それは正しい選択で、決して自分が弱いせいだとは思わないでください。
禁煙薬にはどんな種類がある?服用方法は?
ではそんな禁煙薬にはどんな種類の薬があるのでしょうか。
今国内で禁煙薬として主に用いられているお薬は、2種類です。ニコチンが含まれた貼り薬のニコチンパッチと、ニコチンと似た作用を持ちながらニコチンの作用を一部ブロックする成分を用いた飲み薬のチャンピックスがあります。
ニコチンパッチの服用方法は、ニコチネルTTSという製品を例に説明します。
貼り薬では、使い始めの4週間は一番大きいニコチネルTTS30を、次の2週間は次に大きいニコチネルTTS20を、最後の2週間は一番小さいニコチネルTTS10を使います。数字は表面積の大きさを意味しています。
こちらは貼付薬の中にニコチンが含まれているため、一日のニコチン摂取量をゆっくり減らしていくことで、離脱症状を抑えつつ、禁煙を導く、という治療方法です。
一方チャンピックスは、飲み薬で、1-3日目は0.5mgを一日一回食後に飲み、4-7日目は同じ0.5mgを一日二回朝夕食後に飲み、8日目以降は1mgを一日二回朝夕食後に飲みます。
ニコチンパッチは徐々に減らしていく服用方法であった一方でチャンピックスは徐々に増やしていく飲み方なのが大きく異なります。
チャンピックス の場合、はじめの1週間はタバコを吸ってしまっても構いませんが、8日目からは禁煙してください。
禁煙薬にはどれくらい効果があるの?
ではこれらの禁煙薬では禁煙にどの程度成功することができるのでしょうか。
一般に、禁煙薬などを使わずに禁煙しようとすると、成功率は10%程度と言われていますが、禁煙薬を使った禁煙の場合、チャンピックスで約70%、ニコチネルTTSで約55%の禁煙成功率と言われています。
禁煙薬はどこで手に入る?
ではこれらの禁煙薬はどこで手に入るのでしょうか。
禁煙薬は、ドラッグストアで市販のニコチンガムやニコチンパッチを買うことも可能ですが、禁煙効果は病院・クリニックで処方できる処方薬に劣ります。
効果の高いお薬を禁煙外来で医師に処方してもらうことがお勧めです。
対面での禁煙外来は一定の条件を全て満たす場合には保険診療となるため、そこまで負担の大きいものではございません。(オンラインの場合診療は自費となります。)
ですので、是非一度禁煙外来を受診なさることをおすすめいたします!
公開日:12月27日
監修:クリニックフォアグループ医師
参考文献
医療用医薬品:ニコチネル(ニコチネルTTS30 他) – KEGG https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00048929