女性に起こる脱毛症の種類は？原因や対策・治療方法なども解説します

男性型脱毛症こと「AGA」という単語は非常に身近なものになりました。しかし脱毛症は男性のみに限らず、女性にも起こる疾患です。

そこで、この記事では女性に起こる脱毛症の種類をはじめ、それぞれの原因と対策方法について医師が解説します。最後には、女性の脱毛症でよくある質問についてまとめましたので、ぜひチェックしてみてくださいね。

女性に起こる脱毛症の種類

女性に起こる脱毛症には様々な種類があります。その中でも当院の患者様の中でも多く見られる、以下の5種類の脱毛症について解説します。

• びまん性脱毛症
• 分娩後脱毛症（産後脱毛症）
• 粃糠（ひこう）性脱毛症
• 牽引性脱毛症
• 円形脱毛症

びまん性脱毛症

びまん性脱毛症は髪全体のボリュームが少なくなる脱毛症です。いわゆる女性薄毛（女性AGA）の中で大多数はびまん性脱毛症に該当します。

男性の脱毛症の場合は、頭頂部や前頭部から徐々に薄くなることがほとんどです。しかし、女性のびまん性脱毛症の場合には全体的に薄くなるため、発症に気づくことが遅れるケースが多々あります。

分娩後脱毛症（産後脱毛症）

分娩後脱毛症（産後脱毛症）はその名の通り、妊娠後期～出産後にかけて起こる女性ホルモンの変化によって引きこされる脱毛症です。

妊娠時には女性ホルモンが多く分泌されるため、髪の毛の成長期は長く続きます。しかし出産後、女性ホルモンの分泌量は急激に減少します。その影響でヘアサイクルが乱れ、一時的に抜け毛が多くなります。

粃糠（ひこう）性脱毛症

粃糠性脱毛症は、髪の毛に大量発生したフケによって毛穴が塞がれ、炎症を起こし抜け毛が多くなる脱毛症です。

牽引性脱毛症

牽引性脱毛症は、頭髪の同じ部分を引っ張ったりすることで負荷がかかり、抜け毛につながる脱毛症です。

ポニーテールやポンパドール等の髪型をすると、毛髪や頭皮に負荷がかかるのはもちろんのこと、エクステでも髪の毛が引っ張られるため、注意が必要です。毎日同じ髪型は避けた方が良いとされています。

円形脱毛症

円形脱毛症は、円形や楕円形の脱毛が部分的に起こる疾患です。ただし、中には頭全体でびまん性に脱毛が起こることや、頭皮だけでなく、眉毛やまつげ等、全身の様々な箇所に起こる場合もあります。

女性に起こる脱毛症の原因

女性の脱毛症には様々な種類がありますが、その原因は以下のいずれかであることが多いとされています。

• ホルモンバランスの乱れ・変化
• ヘアカラーやパーマによる頭皮への負担
• 食生活の乱れ
• 睡眠不足
• ストレス

ホルモンバランスの乱れ・変化

女性に起こる薄毛の原因として、多くあげられるのはホルモンバランスの乱れや変化です。

女性のホルモンバランスは年齢によって変動があります。特に50歳前後に起こる閉経を機に、女性ホルモンの分泌量が減り、相対的に男性ホルモンの割合が増えます。

男性ホルモン(テストステロン)は、5αリダクターゼという酵素と結びつくことでDHT(ジヒドロテストステロン)を生成します。DHTは毛母細胞の活動を弱める作用があるため、薄毛の直接的な原因になります。

ヘアカラーやパーマによる頭皮への負担

過度なヘアカラーやパーマは、頭皮環境の悪化や髪のダメージを招き、抜け毛や薄毛の原因となります。

食生活の乱れ

髪の毛の成長には栄養が不可欠です。そのため栄養バランスの偏った食生活を続けていると、髪の毛がどんどん細くなってしまいます。

特に女性は、過度なダイエットによって栄養が不足してしまう事も少なくないため注意が必要です。

ストレス

ストレスはホルモンバランスの乱れを招くだけでなく、「頭皮の血行不良」「亜鉛不足」も引き起こし、それぞれ抜け毛の原因となります。

髪の毛が成長するために必要な栄養素のアミノ酸やミネラル、ビタミンなどは、血液を通して毛乳頭にある毛細血管に送られます。しかし頭皮の血行が悪化すると、当然ながら栄養が正常に届けられなくなります。そのため、髪の成長を阻害し薄毛の原因となると考えられます

またストレスを受けると、亜鉛を消費するため、亜鉛不足を招くことがあります。亜鉛は新しく髪を生成するために必要な栄養素であると同時に、抜け毛の原因となる5αリダクターゼの抑制効果があるため、亜鉛が不足すると髪が抜けやすくなったり、成長しづらくなります。

女性に起こる脱毛症への対策・改善方法

女性に起こる脱毛症への対策方法は以下の通りです。

• 栄養バランスの良い食事を摂る
• しっかりと睡眠をする
• 適度な有酸素運動を行う
• 頭皮に負担の少ない髪型に変える
• ストレスをためないようにする
• 専門のクリニックで治療を行う

それぞれ詳しく解説していきます。

栄養バランスの良い食事を摂る

先の通り、髪の毛の成長のためには栄養バランスの良い食生活を送ることが不可欠です。中でも、タンパク質・亜鉛・ビタミン・鉄分は積極的に摂るようにしましょう。

それぞれの役割や、摂取できる具体的な食材などについて気になる方は「女性の抜け毛・薄毛対策に効果のある食べ物は？医師が解説します。」の記事をご覧ください。

しっかりと睡眠をとる

睡眠不足が続くとホルモンバランスの乱れや、成長ホルモンが十分に分泌されず髪の毛の成長を滞らせてしまう原因となります。

そのため、しっかりと睡眠はとるようにしましょう。人によって最適な睡眠時間は異なるため、必ずしも「何時間寝ると良い」と言った明確な基準はありませんが、一般的には6時間～8時間と言われています。

また、ただ睡眠時間の量を増やすだけでなく、しっかり深い睡眠がとれるように、睡眠の質にも着目しましょう。すぐに出来る睡眠の質向上の方法としては、入眠前にカフェインを摂取しない事や、スマートフォンやテレビ等の液晶を見ないこと等が挙げられます。

参考：健康づくりのため睡眠指針2014 – 厚生労働省

適度な有酸素運動を行う

適度な運動を行うことも、薄毛対策の一つです。有酸素運動を行うことで、血流が良くなるため、薄毛の原因である血行不良を防ぐことができます。

日々の生活の中で歩く場面を増やしたり、ストレッチをしたりと無理なく行いましょう。

頭皮に負担の少ない髪型に変える

牽引性脱毛症に限っての対策・改善方法ではありますが、頭皮に負担の少ない髪型に変えるのも手段の一つです。

先の通りポニーテールやポンパドール等、髪の毛を引っ張るような髪型では無く、前髪を下ろしたりショートにしたりして、頭皮に負担がかからないようすると良いでしょう。

ストレスをためないようにする

抜け毛対策ではストレスをためないようにすることも大事です。

人によってストレスの原因から発散方法まで様々です。体を動かすでも良し、人に相談をするでも良し、自分自身のストレス発散方法を見つけられるようにしましょう。

専門のクリニックで治療を行う

薄毛の原因は人によって様々ですが、ほとんどの人は専門のクリニックで治療を行う改善方法が、やはり効果的であると言えます。

治療方法としては主に投薬治療が多く、当院では以下2種類の薬を主に用いて治療を行います。

• ミノキシジル
• スピロノラクトン

ミノキシジル

ミノキシジルは毛母細胞の活動を促進し、髪の成長を促す薬です。男性のAGA治療にもよく使われる薬であり、外用薬よりも内服薬は特に強い効果を示します。

元々は高血圧の患者に対して処方する降圧剤として用いられていたため、副作用として低血圧、動悸や息切れなどのリスクがありますが、発生頻度としてはごく稀です。

スピロノラクトン

スピロノラクトンは男性ホルモン（テストステロン）を抑制する作用のあるお薬です。ホルモンバランスが乱れ、相対的に男性ホルモンが多くなることで起きる脱毛症の場合は、スピロノラクトンを内服することで抜け毛を抑えて、薄毛の改善が期待できます。

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