睡眠障害とは?睡眠障害の3つのタイプ(不眠症・睡眠時無呼吸症候群・時差ぼけ)について、医師が解説します。

睡眠時間は個人差があるため一概にこれだけ眠ればいいということはなく、一般的にはおおむね1日6時間ほど眠ることができれば十分と言われています。
ですが、世の中には長い時間眠ることができない、逆にとても寝過ぎてしまう、夜中に目が覚めるなど睡眠に対してさまざまな悩みを抱えている方がいらっしゃいます。
睡眠の不調といったときにも、種類は様々ですが、若い男性に関連が深いものだと

  • 「不眠症」
  • 「いびきによる睡眠障害 (睡眠時無呼吸症候群)」
  • 「時差ぼけ」

の大きく3つが存在しており、医学的には、それぞれの分類、および重症度に応じて適切なコントロール・ケアをすることが重要と考えられています。

睡眠障害とは?どれくらいの人が悩んでいるの?

睡眠障害とは、睡眠に対して何らかの問題がある方のことを指します。日本では、一般成人のうち約21%が不眠に悩んでおり、約15%が日中の眠気を自覚していると言われています。また、65歳以上では3人に1人が睡眠の問題で悩んでいるともいわれています。

睡眠障害は、放置していると日常生活や社会生活に支障をきたしてしまう病気です。さらに、睡眠障害を放置し続けるとうつ病などの精神疾患や生活習慣病などさまざまな病気を発症するリスクも高まると考えられており、睡眠障害と感じたら、できるだけ早く治療をすることが望ましいと考えられます。

睡眠障害となる理由も多岐にわたり、病気だけでなく加齢やストレスなどによって睡眠障害となることもあります。また、自分が睡眠障害であると気づくきっかけも多岐にわたります。自分で自覚できる症状が出現することで睡眠障害であるということが自覚できたり、他人から睡眠中の状態を指摘されて睡眠障害であるということが分かる例もあります。さらに睡眠前の習慣や嗜好品が睡眠障害を誘発するということも少なくありません。

ここでは、代表的な睡眠障害として、「不眠症」、「いびきによる睡眠障害」の2つについてご紹介します。

不眠症とは?

不眠症は睡眠障害の中でもよく聞く病名ではないでしょうか。ただただ眠れない=不眠症ではありません。不眠症とは、睡眠の問題が1ヶ月以上続き、それによってさまざまな症状が引き起こされる病気のことを言います。ただ眠れないという状態は、イベントごとや悩み事など心理的な理由がある場合が多く、悩みが解決したりイベントが終わるとまたもとのように眠れるようになることも多いです。不眠症といわれるのは、長期間にわたり夜間の不眠が続き、 日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する状態のことです。不眠症に該当する睡眠問題は入眠障害・熟眠困難・中途覚醒が主なものです。

入眠障害

入眠障害とは、寝付くまでに時間がかかる状態のことをいい、寝付くまで約2時間以上かかる状態を指します。不眠症の中で最も悩む方の多いのがこの入眠障害のパターンです。生活習慣により体内時計が乱れたり、寝る直前まで活動することにより興奮状態が持続してしまうことが原因として考えられます。

熟眠困難

熟眠困難とは、睡眠時間を長くとっていてもぐっすり眠れた気がしないという状態です。ストレスなどが原因で、睡眠の質がよくなく、朝に疲れがとれていないことが原因として考えられます。

中途覚醒

中途覚醒とは睡眠維持障害ともいわれ、眠りについた後に何度も目が覚める状態のことを言います。寝汗や不安、交感神経の昂りなどの様々な原因で、夜目が覚めていることが考えられます。高齢者に特に多く、目覚める回数には個人差があります。ストレスや不安感、また体の火照りなどによる「中途覚醒」に対しては、GABA、L-テアニン、ラフマなどの、ストレスに対する成分や、睡眠の質を高める効果が期待できる成分を配合した

睡眠時無呼吸症候群とは?

次に、睡眠時無呼吸症候群という病気について解説します。睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が一時的に止まってしまう病気です。詳細な定義としては、無呼吸が7時間以上の一晩の睡眠中に30回以上、または1時間に5回以上あった場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。ここで、無呼吸とは10秒間以上の一時的な呼吸停止を指します。

睡眠時無呼吸症候群により、睡眠中のいびきが激しくなったり、何度も起きてしまったりすることで十分な休息がとれなくなります。その結果、スッキリ起きられなくなったり、日中も集中力が続かなくなったり、睡魔に襲われたりといった症状が生じます。
しかし、睡眠時無呼吸症候群をはじめとする生活習慣病の多くはそもそも自覚症状が出にくいという特徴もあります。そのため、定期的な健康診断を受けることが肝心です。

睡眠時無呼吸症候群は原因により二種類に分けられ、気道が物理的に閉鎖することによる閉塞性睡眠時無呼吸と、呼吸中枢の異常による中枢性睡眠時無呼吸の二種類がありますが、およそ90%が前者に該当します。前者の原因としては、睡眠時にのどちんこや舌が垂れ下がることで閉鎖されたり、肥満が原因で喉や首回りに脂肪が蓄積することで閉鎖されます。後者では、気道に空間はあるものの、脳から呼吸するよう指令が出ないために起こります。心臓の機能が低下した人に多く見られると言われています。

睡眠時無呼吸症候群は、自覚症状がないまま進行するため、重症化してしまう危険性があります。また、合併する生活習慣病と相まって致死的疾患のリスクとなるため、早期発見、早期治療が健康寿命を延ばす上でとても大事になってきます。自覚症状が乏しいため、症状が出て困ってから病院で検査を受ける、という形ではなく、人間ドックや職場などの健康診断を受けて診断されるというのが一般的です。

自宅で検査できる簡易検査と、医療期間に宿泊した上で睡眠と呼吸の質をチェックする精密検査がありますが、クリニックフォアグループでは自宅でも実施できるシステムを準備しております。

睡眠時無呼吸症候群の検査・治療法とは?

検査方法について

まず、医師の診察を受けて頂き、どの程度いびき・睡眠時無呼吸の状態が酷いのか、問診・診察の上、確認をさせていただきます。

その上で、ご希望があり、医学的に必要があると判断された患者さんは、ご自宅で、「簡易ポリソムノグラフィー検査」というものを行います。これは、ご自宅に腕時計型のデバイスが宅急便で送られ、それを付けて寝る、というシンプルなものです。寝ている間に息が止まっているかどうかがわかります。保険適応ですので、自己負担額は検査料も込みで約5,000円弱になります。

この検査で、睡眠時無呼吸症候群であると疑われると判断された場合は、次のステップとして「完全型ポリソムノグラフィー検査」という検査を実施します。これは呼吸の状態に加えて、脳波も一緒に検査を行います。この検査は、過去、数日間入院しないと実施できない検査でしたが、クリニックフォアグループでは、自宅にて実施できるシステムを準備しております。簡易検査と同様に、機械が宅急便で郵送され、それを付けて寝る、検査機器を宅急便で送り返すというシンプルなものです。こちらも保険適応であり、自己負担額は、クリニックフォアグループでは約15,000円程度になります(他の病院で入院をしてこの検査を行う場合は、自己負担額で5万円を超えるのが一般的です。クリニックフォアグループで在宅で完全型ポリソムノグラフィー検査をやっていただくと、約4万円以上節約となります)。

治療方法について

これらの検査結果を踏まえ、治療が必要となった場合、2つの治療があります。

1つ目はCPAPという治療法です。いわゆるマスクを付けて、息が止まらないように機械から空気を送りながら寝る治療法です。これは、保険をつかって治療できますので、1ヶ月8,000円程度の負担で治療を行うことが出来ます。

2つ目はナステントという治療法です。ナステントは、特に肥満の方に使用される「鼻から挿入するチューブ」です。気道をチューブで確保して寝ている間もしっかりと呼吸ができるようにします。これは、保険適応はありませんので、ご自身でナステントをインターネット上で購入頂く必要があります(当グループからは、指示箋というものをお出しすることで購入できるようになります)。概ね3,000−5,000円程度で7本のナステントが購入できるようです。

監修:クリニックフォアグループ医師

公開日:5月21日