子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)が再度勧奨されている背景とは?医師が解説します。

「子宮頸がんワクチン」について聞いたことはありますか?

HPVワクチンや子宮頸がん予防ワクチンとも呼ばれることがあるこのワクチンですが、以前ニュースになっていたのでご存知の方は少なくないかと思います。そういう方にとってはあまりいい印象がなかったり、周りが受けるのを止めたことがあるという方もいるでしょう。

日本においては、子宮頸がんワクチンは2013年4月に予防接種法に基づいて定期接種となりました。しかし、他の国と比べても摂取率が極めて低い現状があり、WHOの推計では2019年において15歳の女性で子宮頸がんワクチンを接種した人はアメリカで55%、オーストラリアで80%である一方、日本では0.3%と、他の先進国と比べて1/100以下の割合の女性しか接種していないことがわかります。

そんな子宮頸がんワクチンですが、最近大きな動きがありましたので、何があったのか、結局打つほうがよいのかなどについて詳しく解説していきます。

子宮頸がんワクチンに関する最近の動向について

まず、子宮頸がんワクチンはなぜ日本でこれほどまでに接種率が低いのでしょうか。

もともとは、日本でも海外諸国と同様に、子宮頸がんワクチンの定期接種対象者に積極的にワクチンを打ってもらうように呼びかけを行っていました。これを「積極的勧奨」と呼びます。

ところが、子宮頸がんワクチンを接種した女性に、痛みや運動障害などの、ワクチンが原因ではないとは言い切れない副反応が起こる事例が複数報告されたことにより、定期接種開始からわずか2ヶ月後の2013年6月、厚生労働省は「積極的勧奨」の中止を発表しました。

それにより、ワクチンの安全性への不安が広がり、もともと70%以上だった国内の接種率が2002年以降に生まれた人では1%未満にまで低下してしまったのです。そんな中、本ワクチンにとって重大な転機が訪れました。子宮頸がんワクチン接種を続ける海外諸国でデータが取りまとめられ、2020年にスウェーデンより、17歳までに4価の子宮頸がんワクチンを1回以上接種することにより、浸潤性子宮頸がんになるリスクが88%も低下するという結果が発表されたのです。

子宮頸がんワクチンによると考えられていた様々な症状については、2016年に厚生労働省の研究班より、「接種をしてもしなくても副反応とされていた症状が発症する可能性は変わらない」という研究結果が発表されています。

上記を踏まえると、子宮頸がんワクチンはもはや有害なものではなく、癌を予防するための画期的なワクチンであるということがわかります。

これらのことから「厚生労働省の積極的勧奨の中止」を取りやめ、積極的勧奨を再開すべきだと主張する声が様々な団体からあがるようなりました。

そして2021年10月1日、厚生労働省の検討部会が開かれ、ワクチンの安全性や効果などを検討した上で「勧奨を妨げる要素はない」と確認がなされました。今後は、積極的勧奨の再開、勧奨が中止されていた間接種対象だったのに接種機会を逃した人への機会の確保についても検討される予定です。

港区の子宮頸がんワクチン補助制度について

全容が解明されてきた子宮頸がんワクチンですが、実際どのようにして受ければ良いのでしょうか。

ここでは具体的に港区における補助の仕組み、接種方法について説明していきます。

まず子宮頸がんワクチンですが、積極的勧奨は中止されているものの、定期接種の対象であり無料で受けられるワクチンです。そのため正しい手続きを取れば無料で子宮頸がんを予防することができるのです。

その手続きとしては

①港保健所保健予防課(03-6400-0081)に問い合わせて予診表を送ってもらう

②接種を行っている医療機関でワクチン接種の予約を行う

③予約した日時に医療機関へ予診表を持っていく

という流れになっています。

対象者は、接種日現在、港区に住民登録のある小学6年生(12歳相当)から高校1年生(16歳相当)の女子となっており、

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う特例対応として、平成16年4月2日から平成17年4月1日の間に生まれた方も対象となります。

また、対象の医療機関等については港区のHPVワクチンについてのページに紹介されていますのでそちらをご参照ください。

クリニックフォアでの子宮頸がんワクチンについてのご案内

ではここで当院における子宮頸がんワクチン接種についてのご案内をさせていただきます。

当院では田町、新橋、大手町、飯田橋院にて接種を行なっています。

また、当院では無料で受けられる国産ワクチンの他に、9価の輸入ワクチンの接種も行なっております。こちらの方が幅広いウイルスの型をカバーしているというメリットがありますが、国産のワクチンで受けられる国からの補償は受けられません。ただし輸入業者による独自の補償制度がありますのでご安心下さい。

詳しくは当院までお問い合わせください。

参考文献

日本産科婦人科学会/子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために

https://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4

子宮頸がんワクチン、「積極的勧奨」再開の方向 厚労省検討部会/朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASPB15RWGPB1ULBJ00N.html

子宮頸がんワクチン普及に光明、日本の接種率0.3%/日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66183870T11C20A1TCC000/

港区ホームページ/子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)についてhttps://www.city.minato.tokyo.jp/hokenyobou/yobousessyu/hpv.html#sessyunituite子宮頸がん・HPV:Cervical cancer・Human papiloma virus/CLINIC FOR https://www.clinicfor.life/travel/cases/cervical-cancer/