あなたの疲労回復方法で疲れは取れない?疲れにくい体を作るための3つの習慣について、医師が解説します。

仕事が忙しく、なかなか疲れが取れないとお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、疲れが取れないのを年齢のせいとあきらめてはいませんか?
少し日常生活を工夫するだけで驚くほど疲労を回復することができます。今回はそんなお金をかけずに日常生活の中で身体の疲れをとる方法をご紹介します。

疲労回復には適度な運動が必要?

身体の疲れをとる方法=身体を休ませるとお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、疲労回復には実は適度な運動も必要となります。習慣的な運動は疲労回復に有効な可能性があるという報告も上がっているほどです。

それではどのような運動が疲労回復へとつながるのでしょうか?

身体の疲労物質を除去するための運動とは、ストレッチや軽度〜中程度の運動強度が効果的であるといわれています。

疲労の溜まり方や、疲労の原因によっても効果に差があるといわれており、例えば歩行などの軽い運動は精神的な疲労の軽減につながると考えられています。また歩行だけでなくストレッチも行うとコンピューター作業による疲労軽減に有効であるという報告もあります。さらに、運動をした後はすぐに日常生活に戻ったりせず、まずは軽くストレッチをして身体をほぐしてあげると運動による疲労の影響を身体が受けにくいと考えられています。

健康な人に行った疲労回復の調査は非常に少ないものの、とある調査によると疲労度が高いという方は運動を行っている方が少ないということが分かっています。適度な運動は身体の疲労をとるだけでなく精神的な疲労や社会的に受けた疲労をとる効果が確認されているのです。

入浴も疲労回復のポイント!入浴後の効果的なストレッチ方法は?

疲労回復の方法と考えると入浴を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。医学的にも、入浴は心身ともに高い疲労回復効果が期待できます。
入浴で疲労を回復できる理由は3つあります。

温熱効果

1つ目は温熱効果といい、温かいお湯で身体全体を温めることによって毛細血管が開き、身体にたまっている疲労物質を血液の流れに乗せて体外に排出させやすくするためです。自律神経を整える効果もあるため精神的な疲労回復効果も期待できます。

静水圧効果

2つ目は静水圧効果といい、お湯をためて入浴することで空気よりも重たい水の圧力がかかり、これによってマッサージと同様の効果を得ることができるというものです。マッサージのように足に溜まった血液が心臓へ戻されるため、心臓の働きが活発になり血液の循環が促進され、疲労物質の体外への排出にもつながります。また、マッサージのように身体の疲労回復へつながることも期待されています。

浮力効果

3つ目は浮力効果といい、これは溜っているお湯の中で体が浮くことを言います。肩まで湯につかると身体にかかる重力は陸上の9分の1程度となり、これによって筋肉や関節は身体をしっかりと支える必要がなくなります。そうすると筋肉や関節に過度な力がかからなくなるため身体への負担が減り、筋肉の緊張緩和やリラックス効果が得られるというものです。

疲労回復効果を確実に得るための入浴のポイントはどんな疲労を回復させたいかによって異なります。

身体的な疲労を回復させたい場合には39度程度のぬるめのお湯に20分以上と長めに浸かることで、血流が促進されて溜った疲労物質を押し流してくれる効果が期待できます。運動直後ならば体は温まっているため半身浴での効果がより効果的に得られると考えられています。

一方、精神的な疲労を回復させたい場合には、水力や浮力を感じることが効果的であるため、お湯はできる限りたっぷりと張り、40度くらいのぬるめのお湯に15~20分浸かるとよいとされています。もしもたっぷりの湯につかることが苦手という方は、みぞおちくらいまで湯が入っていれば一定の効果が得られるといわれています。

お湯の温度に関しては、自分が適温と感じる温度のお湯に浸かることで疲労回復効果が得られるというデータもあるため、ここに書かれている温度にこだわらず自分自身の適温と感じる温度に設定してみてください。

また、お風呂から上がった後にストレッチをすることも大変効果的です。実はこのストレッチも自分自身が疲労を感じている箇所へ行うことが良いとされています。デスクワークで溜まる疲労の場合は上半身と首や肩、目の筋肉をほぐすことで疲労回復効果が得られると考えられています。

自分の疲れている箇所を入浴後にしっかりと伸ばして疲労回復へとつなげていきましょう。

疲労回復のための睡眠のコツは?

疲労を回復するために入浴以外に欠かせないのが睡眠です。疲れていてすぐに眠れるという方はまだ良いのですが、疲れているのになかなか寝付けない、寝る時間をしっかり確保できないほど忙しいという方もいらっしゃるかもしれません。とても辛いですよね。もちろんある程度の睡眠時間が取れればよいのですが、少ない睡眠時間でも質の高い睡眠をとることができれば疲労を回復することができると考えられています。

疲労回復のために効率よく睡眠をとるためにはどうすればよいのでしょうか。

まずは、夜の過ごし方です。眠る直前までパソコンやスマートフォンを見ているという方は寝つきが悪くなります。また、寝る前の使用に限らず1日を通してスマートフォンやパソコンの使用時間が長い方は寝付けにくいというデータもあります。まずは夜寝る前のスマートフォンやパソコンの使用を控えていきましょう。

また、夜21時以降に食事をとる方は睡眠の質が低いという報告があります。これに加えてたんぱく質の摂取量が少ない方は睡眠の質が悪くなるということも言われておりますので、バランスよく食事を摂取するようにしましょう。夜のカフェインや寝酒、喫煙も睡眠の質を低下させるので避けることが無難です。

次に朝の過ごし方です。朝は太陽光を取り入れるようにし、毎日決まった時間に起きることを心がけましょう。

厚生労働省は、健康づくりのための睡眠指針として14の項目を挙げていますが、その中に睡眠がしやすい環境を整え、眠くなってから就寝し、起きる時間を一定にするとよいということを挙げています。これらの睡眠方法を実践することで、しっかりと寝付くことができ、疲労回復のための睡眠がとれるものと考えられています。

ただし、充分寝ているのに眠い、全く寝付けず市販の睡眠薬を飲まないと眠れないという方においては何か病気が隠れている可能性もありますので一度医療機関を受診されることをおすすめします。

監修:クリニックフォアグループ医師

公開日:5月21日