MAST36 - BLOOD ALLERGY TEST

当院で実施させていただいた血液アレルギー検査(Mast36)については、医師の診察の上、解釈をきちんとご説明させていただきますが、一般論としての解釈を以下にまとめさせていただきます。

アレルギー検査をご希望の方はご確認の上、医師にご相談ください。

非特異的IgEについて

血中のIgEという物質の総量を測定しています

IgE抗体は、即時型アレルギーを起こすのに重要な物質と考えられており、食物アレルギーや、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎でのかゆみや、喘息発作等に関与すると考えられています

・例えば、アトピー性皮膚炎や気管支喘息の方は、非特異的IgEが2000-6000まで上昇することも稀ではありません。

特異的IgEについて

・スギ、ダニ、カニ、ミルク、等、特定の物質に対するIgE抗体の量を測定しています

・測定結果は、検査会社の方で、わかりやすいよう、クラス0~6まで7段階(6が最もアレルギーが強いということです)で示す方法がとられています。値が高い方がその特異的IgEの量が多いことを示しています

– クラス0は陰性

– クラス1は偽陽性

– クラス2以上が陽性(6が最も強い陽性となります)

・この検査では血中の特異的IgEを測定しているため、特異的IgEの値が高いからと言って必ずしも症状と相関しないことがあります。特に、食物アレルゲンでは、特異IgE抗体がある程度高くても、その物質を摂取しても症状がでないことがあります

血液検査結果を踏まえた、アレルギー疾患の治療について

アレルギー疾患の治療の基本は、

① 原因となるアレルゲンを回避すること

② 症状軽減のための薬物療法

を実施していただくことです。それに加えて、敢えてアレルゲンと接触していく「③免疫療法」というものがあります。

1. アレルゲンの回避:アレルギー陽性となった物質に関しては、できる限り回避してください(食べない、触れない等)ことが重要です。ただし、世の中全ての物質に対して検査を行えているわけではありませんので、経験的にアレルギーを起こすような物質があればできる限り避けるようにしてください

2. 抗アレルギー薬の内服:アレルギーの症状は、ヒスタミンやロイコトリエンという物質により生じることがわかっています。そのため、このような物質を抑える薬物(抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬)を内服してもらうことが治療の一つになります。アレグラ、ビラノア、アレロック、等の薬剤です。

3. 免疫療法:原因アレルゲンが特定できたら、そのアレルゲンを低濃度から計画的に摂取していく治療方法です。まだ、ダニ、スギ花粉でしか実施できませんが、当院でも導入しておりますので、ご希望の方は医師にご相談ください。日本ではスギ花粉症に対して有効率は約80%という成績が報告されています。

スギ花粉症:シダキュア 花粉が飛んでいる時期は治療を開始できず、毎年6月〜11月末の間に新規治療を受け付けています

ダニアレルギー:ミティキュア ご希望があれば、通年で治療を開始できます

更にアレルギーの検査をしたい方へ

・血中アレルギー検査、つまり、血中IgEを調べる検査は簡便であり、現在、日本では最も多く用いられています。ただ、この検査でご自身のアレルギーの全てがわかるわけではありません。他にも、パッチテスト,スクラッチテスト,吸入試験,負荷試験、IgG検査等の検査があります。

・更に、アレルギーの検査を行いたい方は、医師にご相談ください。当院では実施していない検査については、専門病院のご紹介をさせていただきます。

・遅発型アレルギー反応を見る検査がパッチテストです。皮膚表面に、アレルゲンエキスのついたシールを貼りつけ、約1週間程度まで観察します。当院では、金属アレルギーが疑われる患者さんに自費にて実施をしております

・現在、血中IgGを調べる検査(遅延性食物アレルギー検査、アレルチェック)を自費で行っているクリニックがあります。
ただ、この検査は、簡便ではあるものの、発展途上の技術であり、その有用性について医学的には結論は出ておりません。
むしろ、日本アレルギー学会、北米、ヨーロッパのアレルギー学会といった各学会では、推奨されていない現状があります。
これを踏まえ、当院では、「ご希望の方」にのみ実施しておりますので、ご相談下さい。