トリコモナス症とは？治療方法・検査方法・症状・原因など医師が解説します

本記事ではトリコモナス症について、症状や治療方法、検査方法から原因などを医師が解説します。

トリコモナス症とは

 

トリコモナス症は腟トリコモナス（Trichomonas vaginalis）という原虫によって、炎症を起こす性感染症です。性別に関わらず感染する性感染症ですが、女性の方が症状が現れやすく、生殖可能年齢にある女性の約20%がトリコモナス腟炎に感染するとも言われています。

世界保健機関のWHOによる2016年の調査によると、トリコモナス症は世界で最も新規感染者の多い性感染症である事が判明。何と新規感染者数は1億5,600万人にも上りました。（クラミジア感染症は1億2,700万人）

参考：WHO – Chlamydia, gonorrhoea, trichomoniasis and syphilis: global prevalence and incidence estimates, 2016

トリコモナス症の症状

男性

• 陰茎から泡状の分泌物が出る
• 排尿時に軽度の痛み・不快感を感じる
• 頻尿になる

男性の場合は尿道に感染しますが、大半が無症状であり、症状がある場合でもほとんどは軽度なものしか見られません。

女性

• 腟の入り口周辺が炎症を起こして腫れる
• 黄緑色の生臭いおりものが出る（分泌量はわずかな場合もあり）
• 腟が過敏になり性交時に痛みを感じる
• 排尿時に痛み・不快感を感じる
• 頻尿になる

女性の場合は腟と尿路のどちらも感染する可能性があります。

トリコモナス症の原因

トリコモナス症の主な原因は、オーラルセックスを含む感染者との、オーラルセックスを含む性交によるもの。しかし、下着やタオル、便器、浴槽などに付着した原虫をきっかけに感染することもあるため、性行為の経験が無い男女や子供でも感染することがあります。

トリコモナス症の検査方法

トリコモナス症の検査方法は、男性の場合は尿を、女性の場合は腟分泌液を採取して行います。男性は女性よりもトリコモナスの検出が難しく、サンプルを数日間培養する場合もあります。

トリコモナス症の治療方法

男性

男性の場合は抗菌薬のメトロニダゾールまたはチニダゾールを5～7日間、内服することで治癒します。

女性

女性の場合は95%が抗菌薬のメトロニダゾールまたはチニダゾールを1週間から10日間内服もしくは腟内投与することで、95%が治癒します。

トリコモナス症のよくある質問

Q. トリコモナス症によって生理が遅れることはありますか？

「トリコモナス症によって、生理（月経）が遅れる」という確認は取れていません。

Q. トリコモナス症が完治したかどうかは、どう判断しますか？

以下2点で判断します。

• 自覚症状の改善
• トリコモナス原虫の消失

女性の場合には生理中（月経中）にトリコモナス原虫が増殖することがあるため、治療をしはじめてから次の月経終了後に検査をするのがベストです。

Q. 妊娠中にトリコモナス症にかかった場合、出産への影響はありますか？

妊娠中にトリコモナス症にかかった場合、早産になることがあります。

参考：東京都福祉保健局 – トリコモナス症

Q. トリコモナス症は再発することはありますか？

再発する恐れはあり、以下のケースが考えられます。

• 原虫が完全に消失していなかった
• 感染者との性交による再感染

トリコモナス症は完治した場合でも、免疫は作られません。そのため、パートナーとの治療はもちろんのこと、性交渉の際はコンドームを用いるなど予防をしましょう。

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